さつまいもを育てていると、「葉とつるは驚くほど元気なのに、掘ってみたら実が細い……」ということがあります。葉が青々としているだけに、原因が分かりにくいんですよね。
この状態は、一般に「つるぼけ」と呼ばれます。肥料の与えすぎだけが原因とは限らず、日照や水分、つるの管理が関係している場合もあるんです。
この記事では、さつまいもの葉ばかり茂る理由を整理しながら、家庭菜園で実を太らせる対策を5つ紹介します。すでに葉が茂っている方も、まずはできるところから試してみてください。
さつまいものつるぼけとは?まず知っておきたい基礎知識
葉やつるに栄養が偏っている状態
さつまいもは、葉で作った養分を地下のいもに蓄えて太っていきます。ところが、つるや葉ばかりが旺盛に伸びると、作られた養分が地上部の成長や維持に使われやすくなるんです。
その結果、株元のいもに養分が十分届かず、収穫してみると数が少ない、細い、形がそろわないといった状態になります。見た目は元気なのに収量が伸びない、という少し不思議な現象です。
つるぼけの見分け方
目安になるのは、つるが必要以上に長く伸び、茎が鉛筆のように太くなっている状態です。葉も濃い緑色で、畝全体を覆い尽くすように茂っているなら、つるぼけを疑ってよいでしょう。
ただし、品種によってつるの伸び方や葉の大きさは違います。単に葉が大きいだけで判断せず、植え付け後の生育の勢いと、周囲の株とのバランスを見ることが大切ですよ。
さつまいもは本来、肥料が少なくても育つ
さつまいもは、やせた土地でも育ちやすい作物として知られています。だからこそ、野菜の感覚で元肥や追肥をたっぷり入れると、必要以上に葉やつるへ栄養が回ることがあります。
特に窒素分が多い肥料は、茎葉を育てる方向に働きやすいものです。元肥を入れたうえで、さらに液体肥料や野菜用肥料を重ねていないか、一度確認してみましょう。
葉ばかり茂る原因は肥料だけではない?主な4つの理由
窒素肥料が多すぎる
最もよく知られている原因が、窒素分の過剰です。堆肥や鶏ふん、油かす、野菜用の配合肥料などを多く使うと、葉色が濃くなり、つるが勢いよく伸びることがあります。
「肥料は少なめにしたつもり」でも、前作の肥料が土に残っている場合もあります。毎年同じ場所で栽培しているなら、土の中の肥料分が積み重なっている可能性も考えたいところです。
雨が多く、日照が足りない
高温で雨が多く、曇りの日が続くと、つるがひょろひょろと伸びることがあります。土が常に湿っていると根が呼吸しにくくなり、日照不足も重なることで、地上部ばかりが伸びる徒長状態になりやすいんです。
反対に、日当たりがよく、水はけもよい場所では、葉が必要な養分を作りやすくなります。天候は変えられませんが、植える場所や畝の高さなら家庭菜園でも工夫できますよ。
つるの節から根が出ている
さつまいものつるは、地面に触れた節から「不定根」と呼ばれる根を出します。この根が増えると、つるの途中でも水分や養分を吸収するようになり、株元のいもに集中するはずの養分が分散することがあります。
つるのあちこちが土に根づき、畝の外まで広がっているなら要注意です。株元のいもを太らせたい場合は、根づいた部分を確認して管理する必要があります。
収穫時期が早すぎる
地上部が茂っていると、「もう十分育った」と思って早く掘りたくなるかもしれません。しかし、さつまいもは葉で作った養分を時間をかけて地下に送る作物です。
植え付け直後から葉ばかり茂った場合でも、葉が健康で病気がなく、土の中が過湿でなければ、適期まで待つことでいもが太ることがあります。無理に早掘りせず、試し掘りで大きさを確かめるのがおすすめです。
実を太らせる家庭菜園の対策5選
1.肥料を控え、特に窒素の追加を止める
まず見直したいのが肥料です。植え付け後に葉色が濃く、つるが急激に伸びているなら、追肥はいったん控えましょう。
さつまいもは、元肥を使う場合も少量で足りることが多い作物です。葉が薄いからと慌てて肥料を足すのではなく、土の状態や生育全体を見て判断してください。
2.日当たりと水はけを整える
日当たりのよい場所を選び、雨の後に水がたまるなら高めの畝にします。プランターでは、底穴がふさがっていないか、受け皿に水をためていないかも確認しましょう。
水やりは、土が乾いているときに行うのが基本です。毎日決まった量を与えるより、土の湿り具合を見る習慣をつけると、過湿によるつるの暴走を防ぎやすくなります。
3.つる返しで不定根を切る
伸びたつるをそっと持ち上げ、途中の節から出た根を地面から外す作業が「つる返し」です。土に根づいた部分を切り離すことで、つるの途中で養分を吸収する状態を抑え、株元に養分を集めやすくします。
ただし、強く引っ張ってつるを折るのは避けましょう。根づきが少ないうち、つるが畝いっぱいに広がる前に行うのが扱いやすいタイミングです。
4.つるを安易に切らない
通路をふさぐからと、伸びたつるをばっさり切りたくなることがありますよね。しかし、葉を大きく失うと、いもへ送る養分を作る力まで落ちてしまいます。
まずはつる返しで地面から外し、畝の上に整理する方法を試してください。病気の葉や明らかに傷んだ部分を取り除くのは別として、健康なつるの切断は最小限にするのが無難です。
5.葉が健康なら収穫を少し待つ
つるぼけ気味でも、葉が枯れておらず、病害虫の被害も少ないなら、すぐに諦める必要はありません。地域の気温や品種を考慮しながら、適期まで待って試し掘りをしてみましょう。
ただし、土が冷え込む時期まで放置すると、いもの傷みや低温障害が心配になります。待てば必ず大きくなるわけではないので、畑の状態を見ながら収穫時期を決めてください。
植え付け後から収穫までの実践手順
植え付け前にやること
植え付け前は、日当たりと水はけを優先して場所を決めます。肥料を使うなら多く入れすぎず、前作で肥料をたくさん使った場所では、追加の元肥を控える判断も大切です。
畝は低すぎるより、雨の後に水が抜けやすい高さに整えます。プランターなら、さつまいも用の深さを確保し、排水性のよい土を使いましょう。
生育中のチェックポイント
植え付け後は、葉色、つるの太さ、伸びる速さを観察します。葉が濃緑で、つるが急に長くなり、節から根が次々に出るようなら、肥料を足す前に水分と日照を見直してください。
つるが畝の外へ広がってきたら、根づいた節を確認してつる返しを行います。作業後はつるを乱暴に折り曲げず、葉ができるだけ日光を受けられるように戻しておくと安心です。
収穫前の判断
収穫の目安は、植え付けからの日数だけでなく、品種や葉の状態、試し掘りで判断します。試しに一株掘り、いもの太さや皮の張りを見て、まだ細ければ少し期間を置く方法もあります。
ただし、長雨が続く、地温が下がる、霜が心配になるといった場合は、待ちすぎないことも重要です。家庭菜園では一度に全部掘らず、数株を試し掘りして収穫時期を調整すると失敗しにくいですよ。
よくある質問とまとめ
Q1.つるを全部切れば、いもは太りますか?
健康なつるを全部切るのはおすすめできません。葉が光合成をして養分を作るため、まずはつる返しで不定根を外し、肥料と水分を見直しましょう。
Q2.つる返しは何度も行うべきですか?
つるの伸び方や品種によりますが、根づいた節が増えたときに必要に応じて行います。何度も強く動かすとつるを傷めるため、地面に広がりすぎる前に、やさしく整理するのがコツです。
Q3.肥料を使っていないのに葉ばかり茂るのはなぜですか?
雨が多い、高温、日照不足、土の水分過多など、天候や環境が原因のことがあります。肥料だけに決めつけず、畝の水はけや周囲の日陰、つるの根づきも確認してみてください。
さつまいもの葉ばかり茂るときは、窒素肥料の与えすぎだけでなく、雨や日照、不定根、収穫時期まで複数の要因を考えることが大切です。
対策は、肥料を控える、日当たりと排水を整える、つる返しをする、健康なつるをむやみに切らない、適期まで様子を見るという5つ。全部を一度に完璧にする必要はありません。まずは畑をよく観察することから始めてみてください。
