さつまいもの収穫が近づくと、「つるは切ったほうが甘くなるの?」「切るなら、いつが正解?」と迷いますよね。実は、収穫前のつる切りは、やり方と時期を間違えると、かえって芋の肥大や甘さに影響することがあります。
ポイントは、つる返しとつる切りを混同しないことです。この記事では、収穫前に行うつる切りの目的や最適なタイミング、失敗しにくい手順まで、家庭菜園で実践しやすい形で紹介します。
さつまいもの収穫前につる切りを行う理由
つる返しとつる切りは別の作業
まず整理しておきたいのが、「つる返し」と「つる切り」の違いです。つる返しは生育途中に伸びたつるを土からはがし、畝の上へ戻す作業。一方のつる切りは、収穫直前につるを切り、掘り取りやすくする作業です。
つる返しでは、基本的につるそのものを切りません。節から出た不定根を土から離し、株元の芋へ養分が集まりやすい状態に整えるのが目的なんです。
収穫前のつる切りで期待できること
収穫の1〜2週間前につるを整理すると、畝の中が見やすくなり、芋を掘るときの作業が楽になります。つるが絡み合っていると、スコップや手ぐわを入れる場所が分かりにくく、芋を傷つけることもありますよね。
また、収穫前につるを切ることで、葉や茎の生育を止め、芋の仕上がりを整える意味もあります。ただし、切った直後に糖度が急上昇するわけではありません。甘さは収穫後の追熟によって大きく変わるため、つる切りだけに期待しすぎないことが大切です。
切れば切るほど甘くなるわけではない
さつまいもは葉で光合成を行い、その産物を地下の芋に蓄えます。早く切りすぎたり、葉を大量に失わせたりすると、収穫までの肥大に必要な働きが弱くなる可能性があります。
「甘くしたいから、思い切って全部切る」という方法はおすすめできません。つる切りは、収穫直前の整理と収穫性向上を主な目的にして、必要な葉を残しながら行うのが基本です。
つる切りの最適なタイミングを見極める方法
目安は収穫予定日の1〜2週間前
一般的な目安は、収穫予定日の約2週間前です。早生の品種なら生育期間が短いため、葉色や芋の太り具合を見ながら、収穫の7〜10日前に行うケースもあります。
反対に、晩生の品種や生育がゆっくりな株では、予定日だけで判断しないほうが安心です。植え付け時期、地域の気温、日照、雨の多さによって、収穫適期は前後しますからね。
葉色とつるの状態を確認する
つる切りの前には、葉の色や株全体の勢いを確認しましょう。葉が少し落ち着き、つるの伸びが鈍くなってきた頃は、収穫へ向けて準備しやすいタイミングです。
ただし、葉が青々としていて、まだ新しいつるが盛んに伸びている場合は、切るのが早いかもしれません。試し掘りで芋の太さを確認し、食べたい大きさに近づいているかを見る方法も有効です。
霜や低温の前に収穫計画を立てる
さつまいもは低温が苦手なため、霜が降りる前に収穫を終えるのが基本です。つる切りの時期を決めるときも、天気予報だけでなく、最低気温の低下にも目を向けてください。
収穫直前に雨が続くと、土が重くなり、芋が傷つきやすくなります。晴天が数日続く日を収穫日に設定し、その1〜2週間前に軽くつるを整理する流れが、家庭菜園では取り組みやすいと思います。
収穫前のつる切りを失敗しない手順
作業前に道具と株の状態を整える
使うのは、よく切れる剪定ばさみや園芸ばさみ、手袋、切ったつるをまとめる袋などです。はさみは作業前後に汚れを落とし、可能なら株を移るたびに拭き取ると、病気を広げるリスクを抑えられます。
作業日は、雨上がり直後や湿度の高い夕方を避け、晴れてつるが乾いている時間を選びましょう。強い日差しの真昼より、涼しい午前中のほうが株への負担も少なく、作業もしやすいですよ。
株元から10〜20cmほど残して切る
つるを切るときは、株元を確認し、そこから10〜20cmほどつるを残して切る方法が一般的です。株元ぎりぎりまで切ると、土を掘り始める位置が分かりにくくなったり、株を傷めたりすることがあります。
一気に引きちぎるのではなく、はさみで切り分けてください。太いつるを無理に引っ張ると、芋まで動いて傷が入る場合があります。絡んだつるは、外側から少しずつほどくのがコツです。
切った後は畝を確認して収穫まで待つ
つるを切った後は、畝の表面を軽く確認します。露出している芋やひび割れた土があれば、直射日光が当たり続けないよう、周囲の土をそっと寄せておきましょう。
つる切り後すぐに掘り上げる必要はありません。天候や品種にもよりますが、数日から2週間ほど収穫まで置き、芋の成熟を待ちます。ただし、低温や長雨が迫っているなら、無理に待たない判断も必要です。
つるを切るときに注意したいポイント
生育途中なら、つる切りよりつる返し
まだ収穫まで1か月以上ある時期に、つるが伸びすぎたからといって切るのは慎重にしましょう。葉が十分に働く時期ですので、広がったつるは、まず持ち上げて畝の上へ戻すつる返しを検討します。
節から出た根が土に入り、つる根芋ができている場合も、つるを引きはがして根を切るだけで対応できることがあります。通路をふさいでいる、隣の畝へ侵入しているなど、明確な理由がある部分だけ整理するのが無難です。
葉を残し、切りすぎない
収穫前であっても、葉をすべて失わせるような強い切除は避けてください。目安としては、不要な先端や側枝を中心にし、株全体の葉面積を大きく減らさないことです。
特に、病気が見られない健全な葉まで大量に取り除く必要はありません。つるが長くても、葉が十分に残っているなら、収穫直前までそのままにしておくほうが株の働きを保ちやすい場合があります。
切ったつるを畝に放置しない
切ったつるをそのまま畝に積み重ねると、湿気がこもり、病害虫の温床になることがあります。病気や害虫が見られないものでも、いったん畝の外へ運び、乾燥させてから処理しましょう。
健全な若いつるは、節を2〜3個含む長さにして、挿し芽用に利用できる場合があります。食用や堆肥化を考える場合も、病気のない部分だけを選び、生のまま土へ戻さないことが安心です。
さつまいものつる切りに関するよくある質問
Q1. つる切りをすると本当に甘くなりますか?
つる切りだけで、すぐに甘さが増すとは限りません。つる切りは主に収穫をしやすくし、収穫前の株を整理する作業です。
さつまいもの甘さは、収穫後に適温で保管する追熟、いわゆるキュアリングによって高まりやすくなります。つるを切る時期を守り、傷をつけずに収穫し、その後の保存まで丁寧に行うことが重要です。
Q2. つるを切ってから何日後に掘ればよいですか?
目安は数日から2週間ほどですが、品種や気候によって変わります。すでに十分な大きさになっていて、霜や長雨の心配があるなら、つる切り後に早めに収穫しても問題ありません。
迷ったときは、一株だけ試し掘りしてみましょう。芋の太さ、皮の状態、食べたいサイズを確認すると、残りの株を掘る時期も決めやすくなります。
Q3. つるが伸びすぎたら、いつでも切ってよいですか?
通路や隣の畝へ伸びた場合でも、まずはつる返しや畝上への誘引を試します。生育途中で大量に切ると、光合成に必要な葉が減り、収量に影響する可能性があるためです。
どうしても切る場合は、先端や側枝を少しずつ整理してください。高温の日、雨の日、株が弱っているときの大幅な切除は避け、回復の様子を見ながら進めるのが安心です。
さつまいもの収穫前は「切りすぎない」がコツ
作業の要点をおさらい
収穫前のつる切りは、一般的に収穫予定日の1〜2週間前が目安です。株元から10〜20cmほど残して切り、収穫作業の邪魔になるつるを整理します。
ただし、つる返しは生育途中、つる切りは収穫直前の作業です。時期と目的が違うため、つるが伸びたという理由だけで早く切らないようにしましょう。
甘さを高めるには収穫後の管理も大切
甘いさつまいもを目指すなら、適期に掘り、芋を傷つけず、収穫後に追熟させるところまでが一つの流れです。つる切りはその準備として役立つ作業、と考えると分かりやすいですよ。
葉を残して株の力を保ち、晴れて乾いた日に丁寧に切る。これだけでも失敗はかなり減ります。育てている品種と畑の状態を観察しながら、今年の収穫に合うタイミングを見つけてみてください。