さつまいもの栽培で、夏になると気になるのが「つる返し」です。伸びたつるを持ち上げて、地面に根を張った部分を切る作業ですが、本当にしないとダメなのか迷いますよね。
結論からいうと、つる返しはすべての畑で必須というわけではありません。ただし、つるが旺盛に伸び、不定根があちこちで土に入っている場合は、収穫量やいもの太り方に影響することがあります。
この記事では、つる返しの目的や必要性、適した時期、失敗しにくい手順をわかりやすく紹介します。自分の畑ではやるべきか、判断できるようになりますよ。
さつまいものつる返しとは?まず知っておきたい基礎知識
つるの節から出る「不定根」がポイント
さつまいものつるは、土に触れた節から根を出します。この根は株元から伸びる本来の根とは違い、つるの途中から発生するため「不定根」と呼ばれています。
不定根そのものが悪いわけではありません。水分や養分を吸収して、つるを元気に保つ役割もあります。ただ、土に触れたつるの節ごとに根が増えると、株元以外にも養分が流れやすくなるんです。
つる返しは根を切るための作業
つる返しでは、伸びたつるを持ち上げ、地面に接していた部分を浮かせます。すると、つるの節から出ていた不定根が切れ、つる先にできた小さないもも取り除けます。
目的は、つるを短くすることではありません。葉をむやみに減らすのでもなく、余計な場所に根が張るのを抑えて、株元のいもへ養分を集めやすくする作業です。
つる返しとつる切りは別物
混同されやすいのが「つる切り」です。つる返しは、基本的につるを切断せず、持ち上げて不定根を外す作業。一方のつる切りは、つるそのものを切るため、株への負担が大きくなりやすい方法です。
家庭菜園では、勢いでつるを引っ張りすぎないことが大切です。根を整理するつもりが、株元まで傷めてしまうこともありますから、まずは違いを覚えておきましょう。
つる返しをしないと収穫量はどう変わる?
不定根が増えると養分が分散しやすい
つる返しをしないまま、つるが畝の外まで伸びていくと、地面に触れた場所から不定根が次々に出ます。すると、株元だけでなく、つるの途中でも水分や養分を吸収する状態になります。
その結果、葉やつるばかりがよく茂る「つるボケ」につながることがあります。葉が大きく青々としているのに、掘ってみるといもが小さい。そんな経験があるなら、養分の配分が偏っていたのかもしれません。
つるの途中に小いもができることも
不定根が土の中で育つと、つるの途中に小さないもができる場合があります。これを家庭菜園では「つる根いも」と呼ぶことがありますが、株元のいもに使ってほしい養分が分散する原因になりやすいです。
もちろん、つる根いもができたからといって、収穫が必ず失敗するわけではありません。ただ、株元のいもが太りにくくなったり、大きさがそろわなかったりする可能性は高まります。
ただし、やればやるほど良いわけではない
ここは少し注意が必要です。つる返しを何度も強く行えば、収穫量が比例して増えるわけではありません。つるを持ち上げるときに葉を傷めたり、株元を揺らしたりすれば、かえって生育が落ちることもあります。
近年の品種には、つるが伸びにくいものや、つるボケしにくいものもあります。畝にマルチを張り、通路に防草シートを敷いて不定根が土に入らないようにしているなら、つる返しを省けるケースもありますよ。
つる返しは必要?品種と畑の状態で判断しよう
つるが旺盛な品種や古い品種は要チェック
つる返しが向いているのは、つるが長く伸びやすく、畝や通路にまで広がるタイプのさつまいもです。特に、つるの途中から根がたくさん出ているなら、作業を検討する価値があります。
反対に、つるがあまり伸びず、株元にいもがまとまりやすい品種なら、無理に行わなくてもよいでしょう。品種名だけで判断せず、実際のつるの様子を見るのがいちばん確実です。
マルチや防草シートの有無も関係する
黒マルチを畝に張っていると、つるが土に直接触れにくくなります。通路を防草シートで覆っている場合も、不定根が地中へ入りにくいため、つる返しの必要性は下がります。
ただし、マルチの端や畝間の土に、つるが長く接している場合は別です。その部分から根が出ていないか、つるを少し持ち上げて確認してみてください。見た目だけではわからないことがあります。
つる返しを控えたほうがよい時期
一般的には、つるが勢いよく伸びる夏の時期に行います。目安は、つるが畝全体に広がり、不定根が増えてきたころです。1回で終わらせようとせず、必要なら軽く追加します。
一方、収穫が近づく時期に強くつるを持ち上げるのは避けましょう。いもが太る大切な時期に株を動かすと、根やつるを傷める可能性があります。時期を逃した場合は、無理に作業しない判断も大切です。
さつまいものつる返しの正しいやり方と手順
最初に不定根の場所を確認する
まず、晴れていて土が極端に湿っていない日に、つるの様子を確認します。つるが土に接している部分や、節から細い根が出ている場所を探しましょう。
すべてのつるを一度に引き上げる必要はありません。根が多い場所、通路へ伸びた場所から始めると、株への負担を抑えながら効果を出しやすくなります。
つるを持ち上げて、根を外す
つるの先端や途中を両手でそっと持ち、地面から浮かせます。根が軽く張っている程度なら、パリッと外れる感触がありますが、強い抵抗があるときは無理に引っ張らないでください。
根が深く入っている場合は、手や小さな道具で土を少し崩してから外します。つるを折らないこと、株元を引っ張らないこと。この2つを意識するだけでも、失敗はかなり減ります。
つる根いもを取り除き、元の位置へ戻す
つるを持ち上げたとき、小さないもがつるの途中についていたら、取り除きます。その後、つるは畝の上へ戻し、葉が重なりすぎないように整えましょう。
作業後に葉が少し乱れる程度なら問題ありません。ただし、何度も持ち上げたり、葉を踏みつけたりするのは避けます。作業の回数より、株を傷めない丁寧さのほうが重要なんです。
つる返しのよくある質問Q&A
Q1. つる返しは何回すればよいですか?
A. 回数に決まりはありません。つるが土に触れ、不定根が増えているときに、状態を見ながら行います。
家庭菜園なら、夏の生育が盛んな時期に1〜2回程度で十分なこともあります。毎回つるを大きく動かすのではなく、根が目立つ場所だけを軽く処理する方法でもよいでしょう。
Q2. つる返しをすると、つるは枯れませんか?
A. 根を無理なく外すだけなら、通常は大きな問題になりにくいです。ただし、強く引っ張ってつるを折ったり、株元の根まで傷めたりすると、生育に影響する可能性があります。
葉がしおれている日や、土が極端に乾いている日は避けるのがおすすめです。涼しい時間帯に、つるの状態を見ながら作業してください。
Q3. べにはるかでもつる返しは必要ですか?
A. べにはるかに限らず、品種名だけで一律に決めることはできません。つるが土に触れていても不定根が少ないなら、無理に行わなくてよい場合があります。
逆に、つるが旺盛に伸び、途中の節から根が多く出ているなら、軽くつる返しを行う意味はあります。品種の特徴と、その年の畑の状態を合わせて判断しましょう。
さつまいものつる返しは、必ずしなければならない作業ではありません。けれど、不定根が増え、つるばかりが茂っている畑では、株元のいもを太らせるための有効な対策になります。
ポイントは、品種・畝の環境・つるの伸び方を見て決めることです。まずは一部のつるだけを持ち上げて様子を確認し、必要な場所にだけ、やさしく行ってみてください。
